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 乙女不動原瓦窯址  
         
         
   
         
 栃木県小山市乙女から大凡8世紀代(奈良期)の瓦窯址が4基見つかっています、これら瓦窯は下野国分寺下野薬師寺の造営に伴う瓦工房跡の焼窯です、当初日本に措いて瓦生産が行われてたのは6世紀末の頃で奈良の飛鳥寺造営の為に百済の威徳王より瓦師が4名派遣されたと云います、その100余年後に一大国家プロジェクトである国分寺造営に際しいて思川左岸の台地である乙女の地で瓦生産が行われました、その乙女不動原瓦窯遺跡からは複弁八葉蓮華文軒瓦や唐草文軒平瓦など軒瓦66点が出土しこれら軒瓦は宇都宮市内の水道山瓦窯址から出土した瓦と共通すると言われ下野国分寺、下野薬師寺に使われた瓦は数箇所の瓦工房で生産された事が確認されています。  

 
         
 粘土採掘抗址  
         
   
 (粘土採掘抗址、     粘土溜址、)  
         
 瓦に使用される粘土を採掘したと考えられる四角い溝が幾つか発見されています、採掘された土は粘土溜で水分などが混ぜられ適当な硬さに調合されます。  

 
         
 工房址  
         
   
 調合された粘土は瓦の成型作業を行う工房へと持ち込まれます、工房は切妻式の竪穴家屋で壁などは無く中央に作業台(轆轤)を置く穴が開けられています。  
   
 成型された粘土は分割りされ瓦の形状に成ります。  
   

 
         
 平窯址  
         
   
 形成された粘土は平窯に入れられます、この焼窯は谷間から吹き上げる風を取り込む為に台地上利用して斜めに造られています。  
   
 平焼窯は合計4基発見されています、2基一対で瓦焼作業が行われ常時瓦が生産できる状況と成っていたと考えられています、当時国分寺の造営が急ピッチで行われていた為に現場から引っ切り無しで完成品を取りにきていたのでしょう、工房は昼夜無く操業していました。  
   
  (平窯模型、    瓦を置く溝が掘られた台座、)  
         
 平窯は当時最新式であった有牀式平窯が採用されています、ロストル式平窯とも呼ばれ瓦を置く焼成室、燃料を燃やす燃焼室、前庭作業場の3区画に分けられ焼成室は溝が掘られた台座の上に瓦が置かれます、此れにより下からの通気性が良くなり燃焼時間が大幅に短縮される構造です。  

 
         
 灰原址  
         
   
 平焼窯の正面に窯から出た灰をかき出した灰原が見つかっています、所謂廃棄物置場で作業員用のトイレとも成っていました。  

 
         
 瓦集積場址  
         
   
 平焼窯の裏手から瓦の断片が大量に見つかっています、此処は完成した瓦を集積した製品置場と考えられています、この様に完成品が幾つも残っているのは実際の必要数よりも多めに作られていたのでしょう、この様な予備の瓦は後年再利用される事があります、奈良飛鳥寺でストックされていた瓦が同じ奈良の豊浦寺や京都盆地に存在していた高麗寺などにも使われています。  

 
         
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